ペアリング
2022/01/25
地域の素晴らしい農家の食材を使い、料理人が創作で作った皿に、私が自ら醸したワインを中心に
即興でペアリングするというとても楽しく有意義な食のセッションをさせていただきました
そもそも、ワインは料理に合わせてセレクトされるもので
メーカーズディナーでもない限り、通常はワインが料理の先に立つという事はありません
ただ、ワインメーカーが参加するイベントとなると
『俺の作った料理にお前のワイナリーのワインを合わせろ!』
という料理人は今の日本にはたぶんいませんから(笑)お店側の配慮でワインが先に立つ事になります
ですから今回は、つくり手である私が(志願して)ソムリエ役になる、それはそれは貴重な体験だった訳です
しかも、テイストの想像できるクラシカルなメニューではなく、食材に合わせてシェフが考えた料理の味を見ながら
それに合うワインを手持ちの中から選んでいくという臨場感!
前日に教えて頂いたメニューは下記の通り
なんとなく想像はできるが、味を決めるソースは食べてみるまで分からないのがたまらなく面白い
鯉と緑大根、じゃがいものクレープ
大根のスーブ
信州サーモンと大岩魚、紫大根ソテーのサラダ
のらぼう菜のオレキエッテ
赤大根とにんじん、信州黄金しゃもと牧舎峯村のしんしんのボリートミスト
じゃがいもとほうれん草のラザニア
今回のペアリングの個人的目標は、ただ一皿一皿にワインを合わせていくのではなくコース全体のバランスを想像し
相乗効果とアクセントをつけてコース料理の起承転結を手助けする事でした。
で合わせたワインが下記の通り
鯉と緑大根、じゃがいものクレープ → グリューナーフェルトリナー(希望は龍眼酵母の泡)
大根のスーブ → そば茶
信州サーモンと大岩魚、紫大根ソテーのサラダ → 鞍掛シャルドネ2020
のらぼう菜のオレキエッテ → 千曲ソーヴィニョンブラン2020
赤大根とにんじん、信州黄金しゃもと峯村牛のボリートミスト → アンサンブルブラン2020(樽熟成)
じゃがいもとほうれん草のラザニア → グランメルロー2019
1皿目の鯉には香りの主張が少なく酸がキリッと立った白を
2皿目の大根のスープはとても繊細だったためワインはあえて出さずにお茶に
3皿目のサラダのドレッシングは想像では酸味や柑橘系だったが、実際はりんごや蜂蜜が感じられたため
ソーヴィニョンブランからシャルドネに変更
4皿目、のらぼう菜のソースに苦味と青さがあったのでシャルドネからソーヴィニョンブランに変更
5皿目のボリートミストは肉料理ではあるが綺麗に透き通ったスープのため香ばしい白を選択
最後のラザニアはもう少し軽い赤でも良かったがコース全体の満足感と締めの目的でグランメルローに
今回のペアリングで気付いたことは
味の想像できるクラシカルなメニューを置かない店が増えた事で
ソムリエの柔軟性や感性、料理人との感性の共有が一昔前よりも重要になってきた事と
素材に重きを置いた現代のコース料理においては香りに主張が少ないワインやボディが軽めのワイン
例えば日本なら甲州や龍眼、海外ならミュスカデやアリゴテ、ピノグリの登板機会と重要性がかなり高い事です
ワインメーカーはブドウのポテンシャルをできる限り引き出し、香りや味わいに主張があるものを
つくりたいと思ってしまいがちだが料理に寄り添えるワインをつくることも選択肢に持ちたいと考えさせられる
素晴らしい体験でした
今回このような提案を快く受けいれてくれた
レストラン『こどう』の神津シェフに心から感謝するとともに
近い将来、シェフとこのようなイベントを開催してみたいと思いました