cave hatano

醸造家のひとりごと

グラン・メルロー 2019 いよいよ

2022/03/21

グラン・メルロー2019

 

2019メルローは品質は最高! 収量は最少!

造り手であり事業主でもある私にとっては複雑な年でした。

 

開花期の長雨と低温で結実不良を起こし、秋は涼しく晴天が続き最高の天気に恵まれ

10月半ばに台風19号の直撃を受け、収量限を惜しみながらも11月まで引っ張り収穫。

収穫量は平年の約30%減。しかしブドウの品質は素晴らしく堆積層で水分ストレスのかかりにくい

鞍掛の農園でも量を制限すればここまでの凝縮感と深みが得られるという発見に繋がる年になりました。

 

鞍掛の特徴である冷涼でエレガントな果実味と引き締まった酸に加え濃縮感も備わったブドウ。

醸造は、その特徴を損なわぬようにセオリーより低い温度でゆっくり発酵前に浸漬をおこない

天然酵母が動き出したタイミングで酵母を加え複雑さと特徴的な香りを引き出し

発酵終盤に短い中高温期間を経て発酵が終わる前にプレスして還元状態を保ちながら

新樽で一年半熟成させました。

 

鮮やかな紫色、青黒いベリーなどの溢れる香りに甘く深みのあるカカオやコーヒーの薫香。

しっかりとしたアタック、凝縮感のある果実味と旨味に全体を引き締める酸と余韻。

冷涼な鞍掛メルローの一つの答えが出せたのではないかなと思います。

一覧に戻る 次の記事

ページ上部へ