Grand Chardonnay 2020 追記
2022/03/07
「香りの2020」
2020は決して良いヴィンテージではなかった。
いや、それどころかブドウの樹にとってはかなり過酷な年だった。
長い梅雨は7月いっぱいまで続き日射もほとんど無く、水捌けの良い自家農園の鞍掛でも
余分な水を含みすぎた土は酸素欠乏になり、根腐れを起こした。しかも梅雨が明けた途端
今度はカンカン照りの猛暑が続き、既に体力を失っていたブドウはたまらず整理障害を起こした。
このような環境下で、樹はブドウに栄養を送る余裕はなく自分の体を維持するのが精一杯だった。
幸いにも鞍掛の畑は冷涼で熟期が遅いため、糖度と熟度が上がる9月には天候と土壌環境は回復した。
また、樹齢20年超の樹の広い根域によってダメージがカバーされた事は幸運だった。
成熟の遅れを取り戻し、完熟を待って収穫に至ったのは、過去、最も遅い10月30日
6月中下旬の結実から約130日での収穫だった。
さて、気になるのは、このブドウが1年半の時を経てどの様な味わいになったか
ワインの厚みは2017などのビックヴィンテージに比べれば劣る部分があるかもしれないが
収穫を最も遅くまで引っ張ったブドウの官能的な香りはやはり特別だった。
新樽100%にかかわらず樽に負けない溢れ出す果実の芳香と
熟したブドウのみが持つ言葉にはできない旨みと余韻をきっと感じていただけるだろう。
販売は2022冬以降を予定しています。